コラム『庭・造園』 - 技術の進化

技術とは

物を作る世界では必ず技術と言うものが付いて回ります。技術とは何か、あるものを造る上で必要な知識です。知識が手足を動かし目的のものがつくられます

たとえば掃除一つとっても、何を使って掃除をするのか、どの位綺麗にすれば良いのか、その道のプロにしてみれば当たり前の事ですが初心者にしてみれば何もわからないと言うレベルからの出発なので知識として必要なのです。

慣れてくれば頭で考えなくても体が先に動くようになり少しずつプロになってゆきます。

どの位の技術を持っていればプロか

プロとは技術の量ではなく技術の質ではないかと思います。

掃除を取り上げても、早く綺麗に出きれば良し、少なくとも速さより綺麗さのほうが大事で、速さはその後に工夫して身に付けても遅くはありませんが、早いが汚いのはあとから直すのは大変難しいことです。
その後に、この場所はどの位綺麗にすれば良いのかと言う要領を身に付け、本来ののプロに成長して行きます。

掃除だけでなく全ての技術は同じことが言えますので、まずは質を高める努力をする必要があります。

技術はどのように覚えていくか

手取り足取り教えてくれる筈はなく、最初は手元で「あれやれ、これやれ」そのあげくに「それではだめだ!」これが教えてくれていることになるのです。
必ず「だめだ!」の前後に何か理由を言うはずで、その理由がこの仕事のポイントなのでしっかり自分のものにする事です。
こうして教えてくれる人がいるうちに基礎をしっかり身に付け、それ以上の技術は自分で見て・聞いて・やってみて努力し覚え高めてゆくのです。
垣根で言えば、四つ目垣と建仁寺垣さえしっかり覚えれば、あとの肉付けは自分次第です。

技術の進化論

ダーウィンの進化論は動・植物は環境にあわせて進化し、進化できないものは滅びてゆくとあり、動物として、植物として生きて行く根本は変化しないが形を変えたり食べ物を変えたりし環境に適応し生き残りますが、技術も同じ事がいえると思います。

垣根で言えば基本は変えようがなく、強度であったり大事な部分は逆に変化させてはいけない部分ですが、デザイン・割間・材料等は造る場所・建物・周囲の環境・好みによっていくらでも変化させることが出来なければなりません。
建仁寺垣は建仁寺垣でなければならないのですが材料・割り間を替えても建仁寺垣です。
その時代に合った庭があるとすれば垣根もその庭に合った垣根が必要です。

昭和初期の『日本造庭法』と言う本にその頃すでに垣根の工夫が足りないとありました。
教わった垣根がきちんと出来るのはプロとして当たり前で、景色に合った垣根が工夫出来るのが本来のプロだと思います、これが技術の進化ではないでしょうか。